Site Y.M. 建築・都市徘徊

早稲田大学エクステンションセンター 八丁堀校 早稲田大学オープンカレッジ講座
江戸東京の風景学 I

2013年春期  火曜日4限(15:00〜16:30)


【目標】 江戸以来、東京の風景は大きく変貌しながら今日に至っています。変貌の契機となる主な局面について解説するとともに、風景が成立し変化してゆくプロセスを、まちを歩きながら考えます。
【講義内容】 写真・絵画・地図・映像などの資料を用い、江戸・東京が持つ多様性を浮き彫りにしてゆきます。土木的スケールのものから路地空間まで、これまで取り上げら れることの少なかった側面に着目します。まち歩きにより、実際の風景から都市とそれを見つめる人々の意識、そしてその両者 を大きく規定する時代背景について理解します。
【講師】 千葉一輝:麻布大学講師
松本泰生:早稲田大学理工学術院客員講師

第1回
4/16
【原風景としての江戸】
 千葉一輝
江戸という都市の風景を、そこに暮らした人々はどのように眺め、理解していたのでしょうか。そして近代以降、その風景はどのように変っていったのでしょうか。風景と眼差しの変化をたどります。
第2回
4/23
【江戸東京の地形と坂・階段】
 松本泰生
東京都心部は、武蔵野台地の東端に位置し、浸食と隆起により七つの台地と谷がある複雑な地形になっています。都心部の地形の概要と特色を知り、それにもとづく坂や階段のある風景の特色と、その変遷について見ていきます。
第3回
5/07
まちあるき
現地集合
【東京都心の地形を体験する】
 松本泰生・千葉一輝
第2回の授業を踏まえて、港区の虎ノ門・愛宕周辺を訪れ、台地と谷地からなる東京都心部の地形を体験します。地形にもとづく江戸の風景を想像し、明治以降の空間構造の変遷と、その現状について理解を深めます。
第4回
5/14
【東京の公園・庭園】
 千葉一輝
江戸は、寺社地・武家地が抱える緑が豊かで、さながら都市全体が庭園の様相を呈していました。人々は手近な風景に慰藉を見出しています。明治期に導入された西洋の「公園」は、寺社の境内から始まりました。緑と公園の変遷について主要事例を通して概観します。
第5回
5/21
まちあるき
現地集合
【名所・公園を歩く】
 千葉一輝・松本泰生
第4回の講義を踏まえて、神田川沿いの名所・公園を巡ります。水道橋辺りから始めて、元町公園やニコライ堂、湯島聖堂など都心の中の名所・公園を実際に見て歩いていきます。
第6回
5/28
【東京の住宅地】
 松本泰生
近代以降、東京は交通の発達と共に拡大し、居住地も郊外に拡大して来ました。江戸〜東京の歴史の上に成立し、変化を遂げてきた、東京の居住地の様々な形成過程と、現在の様相を知り、魅力的な都市居住環境について考えます。
第7回
6/04
まちあるき
現地集合
【山の手の住宅地を歩く】
 松本泰生・千葉一輝
ここまでの講義を踏まえて、山の手の住宅地(新宿区戸山周辺)を歩き、山の手の住宅地風景と地形を体験して回ります。江戸期には郊外の武家地などだった地域が、近現代に用途を替え、住宅地・団地に変貌した様子を実地に体験し、東京山の手の住宅地風景の現在について考えます。
第8回
6/11
【東京の川】
 千葉一輝
江戸の繁栄を支えたのが隅田川(大川)であるならば、東京下町の繁栄を支えたのは荒川(放水路)であると言うことができます。東京の川の中でも特に近代土木史上、不滅の業績となった荒川放水路の工事について経過を辿るとともに、荒川が与えた影響を見てゆきます。
第9回
6/18
まちあるき
現地集合
【荒川を歩く】
 千葉一輝・松本泰生
ここまでの講義を踏まえて、荒川を歩きます。江戸のはずれだった場所の再開発による住宅街の変容とそれをとりまく荒川の風景を眺めながら歩を進めます。コースの詳細は講義中にお知らせします。
第10回
6/25
【東京・都市基盤の風景】
 松本泰生
東京の都市風景において、都市基盤の風景は一つの大きな要素となっています。江戸から、明治、大正、昭和と時代が移り、日本そして東京の社会構造、産業構造が変化すると共に、東京という都市を支える都市基盤の風景も大きな変化を遂げました。都市基盤の風景の変遷と、関連する景観問題などについて考えます。


・上記は予定です。都合により日程や講義内容を変更する場合があります。
・まちあるきは現地集合・現地解散です。集合場所等は事前の授業でお知らせします。 八丁堀校との間の移動には時間が掛かりますので、登録の際は、前後に時間の余裕をおとり下さい。

・早稲田大学エクステンションセンターのHPはこちら


【講師プロフィール】

千葉一輝:
1950年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒。早稲田大学大学院理工学研究科修了。専攻は都市景観、都市デザイン。工学博士。ものつくり大学講師。台東区、新宿区景観アドバイザー。論文に「近代以降における東京の寺院集積地区に関する研究」「江戸・東京における眺望の変容に関する研究」など。
千葉一輝氏のHP「富士見坂眺望研究会

松本泰生:
1966年静岡県生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。工学博士。専攻は都市計画、景観デザイン、都市形成史など。主著に「東京の階段」(日本文芸社)、「21世紀の日本のかたち「東京の斜面地と景観形成」」(共著・彰国社)、「景観法と景観まちづくり「城下町風まちづくり事業」」(共著・学芸出版社)など。


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