Site Y.M. 建築・都市徘徊

早稲田大学エクステンションセンター 八丁堀校 早稲田大学オープンカレッジ講座
江戸東京の風景学

2016年秋期  火曜日4限(15:00〜16:30)


【目標】 @江戸東京という視点(江戸との連続性から捉えた東京の特質・アイデンティティー)の理解 
A江戸から東京における、風景の変化(新たな誕生や、消滅、保全継承など)の把握 
B変化の主要な契機やそのプロセスについて分析 
C今後の東京の風景のあるべき姿についての展望
【講義内容】 写真・絵画・地図・映像などの資料を用い、江戸東京が持つ多様性を浮き彫りにしてゆきます。土木的スケールのものから路地空間まで、また、風景の形成とともに消滅や再生といった側面まで、これまで取り上げられることの少なかった事象に着目します。講義に引き続いて行われる巡見により、風景の中に身を置きながら、都市とそれを見つめる人々の意識、そしてその両者を大きく規定する時代背景について理解し、過去から現在・将来に亘る江戸東京の風景を考えてゆく手がかりにします。
【講師】 千葉一輝:麻布大学講師
松本泰生:尚美学園大学講師
赤坂 信:千葉大学大区学院園芸学研究科・園芸学部教授

第1回
10/04
【江戸東京と富士】
 千葉一輝
〜半分は江戸のものなり富士の雪〜 江戸の人々は朝な夕なその姿を愛で、誇りにしていました。やがてそれは富士講という信仰になり、夥しい数の富士塚が造られました。しかし近年では都心で富士山が急速に見えなくなり、その復活を望む声が出始めています。江戸東京の富士山への眺望を巡る状況について解説します。
第2回
10/11
【震災復興の前後】
 千葉一輝
関東大震災によって、東京は下町を中心に壊滅状態になります。「復旧」ではなく「復興」として、急速に進められた事業は、明治以降で最大の都市改造となりました。江戸以来の都市はモダン都市へと大きく様変わりしましたが、この復興計画を主導した後藤新平の人物像にも触れながら、震災前と復興後の都市風景の変貌を見てゆきます。
第3回
10/18
【看板建築】
 松本泰生
関東大震災以降、東京では木造洋風の商店建築が多く造られるようになりました。通りに面した部分だけを洋風にしつらえたこれらの建物は「看板建築」と呼ばれ、昭和初期から戦後期の東京の街並みを構成する要素になっています。看板建築の街並み形成の経緯とその特色、近年の状況についてお話します。
第4回
10/25
【江戸東京の眺望】
 赤坂 信
江戸の名所は、多くは高台にある寺社境内や、川や池のほとりといった見晴らし(眺望)の良いところにありました。明治以降それらは次第に失われていき、特に近年では高層化とともに、眺望はいっそう少なくなりつつあります。他方で、歴史的な都市においては眺望の価値が再認識され、次第にその保全の必要性が唱えられるようになってきており、そうした趨勢の背後にある理念について解説します。
第5回
11/01
巡見
現地集合
【巡見】
 赤坂 信
第4回の講義を踏まえて、眺望に関わる場所を歩きます。巡見先の詳細は講義時に説明します。
第6回
11/08
【東京の公園】
 千葉一輝
江戸は寺社地・武家地が抱える緑が豊かで、都市全体が庭園さながらの様相を呈していました。人々は身近な風景に慰謝を見出しています。明治期に導入された西欧の「公園」は、まず寺社の境内から始まりました。緑と公園の変遷を、上野公園や日比谷公園などの主要事例を通して見てゆきます。
第7回
11/15
巡見
現地集合
【神宮外苑を歩く】
 千葉一輝
前回の講義を踏まえて、東京を代表する景観となった神宮外苑を歩きます。絵画館へ通ずる銀杏並木ほど愛された街路樹が他にあるでしょうか。しかし、近代都市デザインの粋として誇るべき外苑は突然に富士山が出現するなど、2020年オリンピックにより大きく様変わりしようとしています。こうしたことも視野に入れながら、緑の下を抜けて行きます。
第8回
11/22
【東京の盛り場】
 松本泰生
江戸の遊郭・岡場所から、東京の花街・三業地・赤線・青線へ、更に戦後の料亭街に至るまで、色街、花街の歴史的変遷について概要を学びます。また江戸東京における位置づけの移り変わり、特有の街並み風景の変容について知ります。
第9回
11/29
巡見
現地集合
【向島・浅草界隈を歩く】
 松本泰生
第8回の講義を踏まえて、江戸期からの下町の遊興地である向島・浅草界隈を歩きます。花街(三業地)の街並み風景を巡見し、現代に残された盛り場の痕跡を辿ります。
第10回
12/06
【東京の故郷性】
 千葉一輝
果てしなく変貌を続ける東京は、「故郷」という視点からはどのように見えてくるのでしょうか。東京への人口流入、郊外化、都心回帰といった時代の大きな流れを踏まえ、また明治以降の流行歌(望郷歌)を通して見られる故郷意識の変化にも目を配りつつ、 東京の都市居住、風景の今後について考えます。


・上記は予定です。都合により日程や講義内容を変更する場合があります。
・まちあるきは現地集合です。八丁堀校との間の移動には時間が掛かりますので、登録の際は、前後に時間の余裕をもって下さい。
・まちあるきは、毎回約1時間半で約4km程度を徒歩で巡ります。

・早稲田大学エクステンションセンターのHPはこちら


【講師プロフィール】

千葉一輝:
1950年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒。早稲田大学大学院理工学研究科修了。工学博士。専攻は都市景観、都市デザイン。ものつくり大学講師。台東区・新宿区や調布市等の景観アドバイザー。論文に「近代以降における東京の寺院集積地区に関する研究」「江戸・東京における眺望の変容に関する研究」などがある。
千葉一輝氏のHP「富士見坂眺望研究会

松本泰生:
1966年静岡県生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。博士(工学・早稲田大学)。都市景観・都市形成史研究を行う傍ら、90年代から東京の階段を訪ね歩く。著書として、『東京の階段−都市の「異空間」階段の楽しみ方』(日本文芸社)、『新宿学』(紀伊國屋書店・共著)がある。

赤坂 信:
千葉大学大学院を経て西ドイツ(当時)政府給費留学生としてハノーバー大学に留学。1981年より千葉大学助手として園芸学部に勤務し、現在に至る。専門は風景計画学、造園学、都市緑地史。『ドイツ国土美化の研究』で京都大学から農学博士の学位を受ける。ICOMOS国際会議で眺望の再生と復活をめざすVIsta Heritage(眺望遺産)の提言。日本イコモス会員。

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