江戸東京の風景学 2017

早稲田大学エクステンションセンター 八丁堀校 早稲田大学オープンカレッジ講座
江戸東京の風景学 春編

早稲田大学エクステンションセンター Website

2017年度 春期  火曜日4限(15:00〜16:30)

【目標】 江戸以来、東京の風景は大きく変貌しながら今日に至っています。変貌の契機となる主な局面について理解するとともに、風景が形成されてゆくプロセスを、多様な資料から考えます。これらに加えて実際のまちの現況を見て歩くことで、風景に対する見識を深めます。
【講義内容】 写真・絵画・地図・映像などの資料を用い、江戸・東京が持つ多様性を浮き彫りにしてゆきます。土木的スケールのものから路地空間まで、これまで取り上げられることの少なかった側面に着目し、まち歩き(まちなか巡見)により、実際の風景から都市とそれを見つめる人々の意識、そしてその両者を大きく規定する時代背景について理解し、江戸東京の風景を考える手がかりとします。
【講師】 千葉一輝:麻布大学講師
松本泰生:尚美学園大学講師
赤坂 信:千葉大学大学院園芸学研究科・園芸学部教授
第1回
4/11
【原風景としての東京】
 千葉一輝
江戸という都市の風景を、そこに暮らした人々はどのように眺め、理解していたのでしょうか。そして近代以降に変容し続けてきた風景を現代人はどのように受け止めているのでしょうか。初回となる本講義では、江戸期に存在した都市空間の全体像が、分断化・断片化していく過程を把握し、東京に暮らす我々の眼差しの変容を理解します。
第2回
4/18
【高層化する東京】
 松本泰生
近代以降、東京の街並みは断続的に高層化してきました。特に近年は超高層建物が毎年のように増加しています。江戸東京の街の建物の高さに着目して、江戸から現在に至るまでの街並み風景と、体験や意識の変化についてお話しします。
第3回
4/25

【江戸東京の道】
 千葉一輝
通常、私たちが歩行する道は、できた当初の道筋などが基本的に保たれたまま、長きにわたり存続してゆきます。江戸から東京にかけての主要な道や、山の手・下町の道路を、大きくパターンとして把握し、街道や坂道や路地などについて、変わったもの変わらないものについて明らかにしてゆきます。
第4回
5/09
【江戸東京の眺望】
 赤坂 信
江戸の名所は、多くは高台にある寺社境内や川や池の畔という見晴らし(眺望)のよいところにありました。明治以降、それらは次第に失われていき、とくに近年では都市地域では高層化が進み、眺望の機会はいっそう少なくなりつつあります。他方で、歴史的な都市においては眺望の価値が再認識され、次第にその保全の必要性が、議論されるようになってきており、そうした趨勢の背後にある理念について解説します。
第5回
5/16

【かつての眺望名所を歩く】
 赤坂 信
第4回の講義を踏まえて、かつての眺望の名所(愛宕山、日暮里の諏訪道など)を歩きます。巡見先の詳細は講義時にご説明します。
第6回
5/23
【東京の川】
 千葉一輝
江戸の繁栄を支えたのが隅田川(大川)であるならば、東京下町の繁栄を支えたのは荒川(放水路)だと言えるでしょう。東京には江戸期の水路がまだ現存していますが、本講義では近代土木史上、不滅の業績となった荒川放水路を取り上げ、工事について経過を辿るとともに、荒川が与えた影響について北千住付近を中心に見てゆきます。
第7回
5/30
【江戸四宿】
 松本泰生
江戸の市域に隣接し、遊興地として栄えた江戸四宿(品川、千住、板橋、内藤新宿)の概要と、江戸における位置づけを学び、その区間構造と街並み風景の特色について概説します。またそれらの近代以降の変容と、現状についてもお話しします。
第8回
6/06
【千住宿を歩く】
 まちなか巡見
 松本泰生
第7回の講義を踏まえて、奥州街道・日光街道の宿場町として発達した千住宿を歩きます。街道沿いに立ち並ぶ家並みを見たり寺社を巡り、宿場町の風景を体験し、空間構造の特色を理解します。
第9回
6/13
【東京の寺町】
 千葉一輝
様変わりの激しい東京において、寺町はその特質上、環境が良く保たれています。しかし、寺院は江戸期において、都市計画上、幾度となく移転を余儀なくされその都度、新しい寺町が生まれました。新旧の寺町と、そこで行われているさまざまな取り組みを紹介します。
第10回
6/20
【烏山を歩く】
 まちなか巡見
 千葉一輝
第9回の講義を踏まえて、昨年度に歩いた谷中に次いで都内第2の規模である烏山寺町に赴きます。緑に恵まれた境内や、湧水を湛えた池など、落ち着いた寺院風景を巡ります。

・上記は予定です。都合により日程や講義内容を変更する場合があります。
・まちなか巡見は現地集合・現地解散で、4km程度歩きます。集合場所等は事前の授業でお知らせします。 八丁堀校との間の移動には時間が掛かりますので、登録の際は、前後に時間の余裕をおとり下さい。


【講師プロフィール】

千葉一輝:
1950年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒。早稲田大学大学院理工学研究科修了。工学博士。専攻は都市景観、都市デザイン。ものつくり大学講師。台東区・新宿区や調布市等の景観アドバイザー。論文に「近代以降における東京の寺院集積地区に関する研究」「江戸・東京における眺望の変容に関する研究」など。
千葉一輝氏のWebsite「富士見坂眺望研究会

松本泰生:
1966年静岡県生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。博士(工学・早稲田大学)。都市景観・都市形成史研究を行う傍ら、90年代から東京の階段を訪ね歩く。著書として『東京の階段−都市の「異空間」階段の楽しみ方』(日本文芸社)、『新宿学」(紀伊國屋書店・共著)などがある。

赤坂 信:
千葉大学大学院を経て西ドイツ(当時)政府給費留学生としてハノーバー大学に留学。1981年より千葉大学助手として園芸学部に勤務し、現在に至る。専門は風景計画学、造 園学、都市緑地史。『ドイツ国土美化の研究』で京都大学から農学博士の学位を受ける。ICOMOS国際会議で眺望の再生と復活をめざすVista Heritage(眺望遺産)の提言。日本イコモス会員。


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