旧東海道を歩く 沼津

1994.8.13

 沼津駅前の寿司店で昼食をとった後、同行のS氏と歩き始める。晴天。夏の盛りで出だしから暑い。中心部にはアーケード商店街がある。お盆休み中のお昼時、なかなかの賑わい。

 アーケードを通ってる間は日陰で良かったが日なたに出るとドッと汗が噴き出す。何しろ路面が白く光り輝いてまぶしい。それほど強烈な日差し。よりによってこんな日に歩くことにしてしまったのを早くも後悔する。

沼津市内の美観地区の街並み

 沼津市内の目抜き通りには全国的にも数少ない美観地区が戦後設定された街並みがある。それと知らずに訪れてもさっぱり判らないので、大した意味があるとは思えない。しかし特徴的なのは、通り沿いの建物が1F部分を歩道として供出していて、その上に建物が建っていることである。普通は歩道は市なり国が所有する道路であり、その上空に建物が建つことはない。ここの場合、道路外の敷地内に歩道があるので、このようなことになっている。地権者は歩道を供出しているから、ちょっと損しているような気もするが、考え方を変えてみると、車道の幅を広めに確保することができ、且つ歩道上空を有効活用することにもなる。これでボーナスの容積を与えるか何かすれば、無理に道路を拡幅しなくても、歩行者空間を得ることができるわけで、一石二鳥のような気がするが、何故か全国的には全く広まることがなかった。沼津のこの通りだけで実現した不思議な街並み。ちなみに、私有地を歩道として提供するあり方は雪国を中心として「雁木」や「こみせ」がある。

 市内をはずれて一路西へ。道路の南側のブロック塀沿いを歩き、少しでも日陰を歩こうとする。自動販売機でお茶やらジュースやらを買って飲む。とにかく下手すると脱水症状や熱中症になりそうな状態。東海道を歩く旅は修行の旅でもあるのだ・・・。何故そこまでするかなー、自分でもわからん。始めてしまった勢いというものかも。

 原町のあたりはとにかくルートがまっすぐ。行けども行けども大して景色が変わらないのには閉口する。旧道なので車もさして来ない。あまりに暑い日なので人通りも絶えている。大きな建物もないので日陰も少ない。そんな中をあじーあじー言いながら歩く。我ながらちょっとクレージー。こんな時には唄うに限るのだが、それすらおぼつかない。口数が少なくなる二人。ここらへんちょうど午後2時から3時。よりによって一番暑い時間帯。カメラを持って歩いているが、何にも撮る気にならない。

 途中、白隠正宗という地酒を売る造り酒屋の前を通り過ぎる。地酒を土産に買ってもとにかく重いだけなのであきらめる。しかし、富士に降った雨が元になっている湧き水を使ったお酒というのもいいものなんだろうなーと、下戸の身ながら思うのでした。

2007.8.11
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