旧東海道を歩く 富士吉原

1994.8.13


富士市 妙法寺

 富士市の吉原宿のあたりに達し、妙法寺なるお寺に立ち寄る。この妙法寺というお寺、ダルマ市のお寺として有名なのだが、結構珍奇な寺でもある。本堂の前にある線香をくべる建物は、極彩色で屋根の上には龍が踊る。そのド派手さにまず気圧されてしまう。で、本堂の左を何気なく見るとネパールの寺院のような建物が、右にはインド寺院風の御堂が・・・。興味津々で拝観料を払って見てみることに(あまり訪れる人がいないらしく、お寺の方がわざわざ鍵を持ってきて開けてくれた。)。中には七福神が祀られていて、胎内巡りのようになっている。沙悟浄や猪八戒を思わせる(七福神なんだけど)カラフルで楽しげな像が幾つもあって、こういうプリミティブというかプアなものを楽しめる向きにはオススメの代物(信心深くなくてすまん。)。


製紙工場の煙突

 富士市は製紙工場、パルプ工場が多いのだが、妙法寺の境内からも異様な煙突が見える。保守作業用の階段が蛇のように巻き付いていて、市内にあるいくつかの煙突の中で最も妙な形。

 ちなみにこの煙突、「路上観察 華の東海道五十三次」路上観察学会著・文春文庫、にもしっかり載っております。あ、もちろん妙法寺も・・・。

 妙法寺を過ぎると、富士川下流の湿地帯(江戸時代の話だけど)を避けるため、道は山側に北上する。東京から京都へ行く際に、いつも進行方向右手に見えている富士山が、ここで一時的に左手側になるため、吉原の左富士と呼ばれていたそうな。で「歩いてみると確かに見える左富士」なのだった。さすがに吉原近辺では富士はそびえ立つように見える。とにかくでかい。

 一里塚の近くの公園で夕方を迎え、この日、何本目かのジュースを飲みながら、またもや休憩。しかし最寄り駅というものがあまりないので、とにかく歩くしかない。吉原本町までの区間には工場が多く、休日の夕方の街はひっそりしていたのでした。


富士山の絵がある自転車店

 途中で楽しげな自転車屋を発見。軒先に自転車や一輪車が飾られ、また屋根には富士山の絵が。

 吉原本町のヤオハンは閉鎖されていて、街の人影もまばら。しかし何となく、富士吉原はもう一度見てみたい街。戦後しばらくは賑わっていた街というものを見ておきたい気がする。足はクタクタになっていたけど、ここまで来たら富士駅まで行ってしまおうということに。夕方になって日差しもなくなり、風も出て少しだけ涼しくなり、ようやく気力も回復。午後6時頃に富士駅に到着して、沼津・富士間のハードな旅は終了したのでした。ちなみに翌日は一日中家でグッタリ。ああもう若くはないのねと痛感・・・。

2008.5.2
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