旧東海道を歩く 興津 清見寺

1994.5.3

 興津のまちを通り過ぎたあたりに清見寺がある。五百羅漢と駿河湾の景色で有名な寺である。しかしそのような一般的な史跡、観光としてのあり方とは別な意味で、この寺は非常に印象深い。

 写真を見ても判るように、境内の参道を電車が横切っているのだ。昔からの参道は東海道筋に直交して山側の寺へ向かって上っていく。階段を上ると山門があるが、その先は東海道線の軌道で直進が出来ない。人は左手へ迂回して、跨線橋を渡らねば寺へはたどり着かない。

 下から見ると、山門の向こう側をオレンジとグリーンのツートンカラーの電車が頻繁に80km/hで疾走している風景なのである。明治後半か大正期に東海道線は建設されたはずだが、ずいぶん大胆なことである。東海道線が旧東海道に沿って街並みの裏側を通ったための悲喜劇。

 五百羅漢のある裏山に上ると寺の境内越しに駿河湾が望める。ここでも海岸の埋め立ては行われていて、海は遙か彼方になってしまっている。それでも沖の霞のなかに貨物船などが見える風景は清水港に近い海ならではの風景。

2007.8.12
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