安倍川を越えると丸子の里(江戸期の宿場名としては鞠子)である。道は緩やかに左右に蛇行して宇津ノ谷の谷奥へと向かう。
丸子宿の西のはずれ付近に、とろろで有名な丁子屋がある。付近の山で採れる自然薯を摺り下ろして作られたとろろが美味い。休日には大勢の観光客がやってくる。下の写真は入口付近。広重の五十三次の絵を模して建てられた茶屋風の建物。
古風な構えをしている店ではあるが、内部のシステムは意外に合理的で新しい。玄関の戸を開けると、案内兼会計のおばちゃんが出迎えてくれる。空いている部屋に客を誘導しつつ、接客担当に来店人数を連絡。私達客が席に着くのと同時におしぼり、お茶が席に届く。注文は無線端末で調理場へ送られる。店が広いのでこれも有効。迷わず即座に注文したりすると、接客係が去った後、お茶を飲み、手を拭いている内に、とろろ、麦飯が早速到着。とにかく早い。システムはファミレス風、早さはファストフード並み。
これは丁子屋のメニューがとろろ飯中心であるため。絶えず薯を摺って、麦飯も炊いてスタンバイしているようだ。揚げ物メニューなど手の掛かるものが殆どなく、刺身なども冷蔵庫から出して切って盛りつけるだけだから早い早い。酒を呑んだりするとゆっくりくつろぐ形になるが、そうでないと早い場合は、店に入ってから30分で全ての食事が終了してしまったりする。観光客が多い店だけに客あしらいもスムーズで、回転は意外に速い。とろろって意外とファストフード的なようです。
途中、丸子川沿いの道を歩いていると、堤防の石垣を上る石段があり、小さな社務所と鳥居が土手の上に建っていた。写真中、鳥居の向こうは川。地図には水神社の名が。堤防に上がってみると、川へ下りる道があり、川の中には飛び石が・・・。どうやら神社は対岸の模様。先を急ぐあまり行ってみなかったが、後から考えてみると見ておけば良かったかなーと、ちょっと残念。