Site Y.M. 建築・都市徘徊

早稲田大学エクステンションセンター 八丁堀校 早稲田大学オープンカレッジ講座
江戸東京の風景学

2006年秋期  火曜日4限(14:45〜16:15)


【目標】 江戸以来、東京の風景は大きく変貌しながら今日に至っています。変貌の契機となる主な局面について解説するとともに、風景が成立し変化してゆくプロセスを、まちを歩きながら考えます。
【講義内容】 写真・絵画・地図・映像などの資料を用い、江戸・東京が持つ多様性を浮き彫りにしてゆきます。土木的スケールのものから路地空間まで、これまで取り上げられることの少なかった側面に、着目します。まち歩きにより、実際の風景から都市とそれを見つめる人々の意識、そしてその両者を大きく規定する時代背景について理解します。
【講師】 千葉一輝:早稲田大学芸術学校講師
松本泰生:早稲田大学理工学総合研究センター客員講師

第1回
09/26
【原風景としての江戸】
 千葉一輝
江戸という都市の風景を、そこに暮らした人々はどのように眺め、理解していたのでしょうか。そして近代以降、その風景はどのように変っていったのでしょうか。風景と眼差しの変化をたどります。
第2回
10/03
【江戸・東京の地形】
 松本泰生
東京都心部は、武蔵野台地の東端に位置し、浸食と隆起により七つの台地と谷があり、複雑な地形になっています。都心部の地形の概要と特色を知り、それにもとづく風景の特色とその変遷、地形と私たちの関係について学びます。
第3回
10/10
まちあるき
現地集合
【江戸・東京の地形を歩く】
(四谷・荒木町)
 松本泰生・千葉一輝
第2回の講義を踏まえて、四谷・荒木町を歩き、台地と谷が複雑に入り組んだ東京都心部の地形を体験します。江戸期からの歴史を持つ都心の、地形と風景の関係、風景の変化、東京の地形にもとづく風景の将来について、路地や坂、階段を巡りながら考えます。
第4回
10/17
【庭園都市としての江戸・東京】
 千葉一輝
江戸は、寺社地・武家地を抱える緑が豊かで、さながら都市全体が庭園の様相を呈していました。人々は手近な風景に慰藉を見出しています。明治期に導入された西洋の「公園」は、寺社の境内から始まりました。緑と公園の変遷について主要事例を通して概観します。
第5回
10/24
まちあるき
現地集合
【江戸東京の庭園と公園】
 千葉一輝・松本泰生
第4回の講義を踏まえて街歩きを行います。コースの詳細は講義中にお知らせ致します。
第6回
10/31
【産業と東京の風景】
 松本泰生
東京の都市風景において、産業の風景は一つの大きな要素となっています。江戸から、明治、大正、昭和と時代が移り、日本そして東京の社会構造、産業構造が変化すると共に、東京の産業の風景も大きく変化を遂げてきました。産業風景の変遷と東京の都市イメージの変遷について考えます。
第7回
11/07
【東京の都市居住の変遷】
 松本泰生
近代以降、東京は交通の発達と共に拡大し、居住地も郊外に拡大して来ました。江戸◯東京の歴史の上に成立し、変化を遂げてきた、東京の居住地の様々な様相を知り、魅力的な都市居住環境とはどういうものなのか考えます。
第8回
11/14
まちあるき
現地集合
【都心山の手の都市居住】
(三田・高輪)
 松本泰生・千葉一輝
第7回の講義を踏まえて、実際に港区内を歩き、江戸期からの歴史を持つ一方で、近現代において激しい変貌を遂げた街とその風景を体験し、風景・景観の側面から、都心部山の手の都市居住について街歩きの現場から考えます。
第9回
11/21
【江戸・東京の寺町】
 千葉一輝
様変わりの激しい東京において、寺町はその特質上、環境がよく保たれています。しかし、寺院は江戸期から近代において、都市計画上、幾度となく移転を繰り返しました。新旧の寺町と、そこで行われているさまざまな取り組みを紹介します。
第10回
11/28
まちあるき
現地集合
【東京の寺町と富士見坂の眺望】(谷中〜日暮里)
 千葉一輝・松本泰生
今までの講義を踏まえ、江戸期以来の東京最大の寺町、谷中を歩きます。緩やかな時の流れ、昔ながらの寺院風景を味わいます。近年の変化にも眼を配りながら、日暮しの里へ抜け、諏訪台、富士見坂から都市風景を考えます。


・上記は予定です。都合により日程や講義内容を変更する場合があります。
・まちあるきは現地集合です。八丁堀校との間の移動には時間が掛かりますので、登録の際は、前後に時間の余裕をもって下さい。

・早稲田大学エクステンションセンターのHPはこちら


【講師プロフィール】

千葉一輝:
1950年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒。早稲田大学大学院理工学研究科修了。麻布大学講師。工学博士。台東区景観アドバイザー・足立区まちづくり公社都市景観デザイン専門員。論文に「近代以降における東京の寺院集積地区に関する研究」「江戸・東京における眺望の変容に関する研究」など。
千葉一輝氏のHP「富士見坂眺望研究会

松本泰生:
1966年静岡県生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。工学博士。専攻は都市計画、景観デザイン、都市形成史など。主著に「東京の階段」(日本文芸社)、「21世紀の日本のかたち「東京の斜面地と景観形成」」(共著・彰国社)、「景観法と景観まちづくり「城下町風まちづくり事業」」(共著・学芸出版社)など。


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