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山の手地域の土地条件

山の手台地概観

 武蔵野台地の東端、山の手地域が位置する辺りは山の手台地と呼ばれ、その起伏に富んだ地形はいつの時代でも東京の都市建設の素地となっている。この山の手台地は、形成時期・高低などの異なる2つの地形面からなり、概ね神田川以北の武蔵野面に属する台地と、以南の下末吉面に属する台地の2つに大別される。高さを比較すると、下末吉面台地の方が数m高い。また武蔵野面台地の谷は、一般に傾斜方向に沿って長く伸びており、比較的大きく形態が単純である。一方、下末吉面台地では、古川谷の他は比較的狭小な谷が樹枝状に台地を刻んでいる。支谷が多く、武蔵野面台地と比較して谷の密度が高い。


東京の山の手線内の地形(714 KB) 図版作成:松尾 環

山の手地域における斜面地

 山の手地域では、旧来の自然地形がそのまま存続した斜面地は非常に少ない。それに替わるのは、盛土や切土により平坦化された土地と、それらを区切る人工的な崖である。しかし、人為による改変の激しい山の手地域の斜面地も、その土台である自然地形と無関係ではなく、むしろ両者には密接な関連がある。なぜなら、こうした人工改変度の大きい斜面地は、台地と谷とが織りなす複雑な自然地形への対応の中から発生したものだからである。そして自然地形が変化に富んだものであるのと同様に、斜面地も一様であるということは決してない。

Written By Tamaki Matsuo

07.8.11


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