Site Y.M. 建築・都市徘徊

早稲田大学エクステンションセンター 八丁堀校 早稲田大学オープンカレッジ講座
江戸東京の風景学 春編

早稲田大学エクステンションセンターHP

2015年度 春期  火曜日4限(15:00〜16:30)


【目標】 江戸以来、東京の風景は大きく変貌しながら今日に至っています。変貌の契機となる主な局面について理解するとともに、風景が形成されてゆくプロセスを、多様な資料から考えます。これらに加えて実際のまちの現況を見て歩くことで、風景に対する見識を深めます。
【講義内容】 写真・絵画・地図・映像などの資料を用い、江戸・東京が持つ多様性を浮き彫りにしてゆきます。土木的スケールのものから路地空間まで、これまで取り上げられることの少なかった側面に着目し、まち歩き(まちなか巡見)により、実際の風景から都市とそれを見つめる人々の意識、そしてその両者を大きく規定する時代背景について理解し、江戸東京の風景を考える手がかりとします。
【講師】 千葉一輝:麻布大学講師
松本泰生:尚美学園大学講師

第1回
4/07
【東京の原風景】
 千葉一輝
江戸という都市の風景を、そこに暮らした人々はどのように眺め、理解していたのでしょうか。そして近代以降、その風景はどのように変っていったのでしょうか。風景と眼差しの変化をたどります。
第2回
4/14
【東京都心部の地形】
 松本泰生
江戸の町は武蔵野台地の東端部に形成され、それは高台や坂の多い山の手と、平坦で水路の多い下町という二つの地域に大別することができます。現在の東京都心部に相当する江戸の町の地形の概要を知り、それにもとづく風景の特色とその変遷を見ていきます。
第3回
4/21

【東京の川】
 千葉一輝
江戸の繁栄を支えたのが隅田川(大川)であるならば、東京下町の繁栄を支えたのは荒川(放水路)であると言うことができます。東京の川の中でも特に近代土木史上、不滅の業績となった荒川放水路の工事について経過を辿るとともに、荒川が与えた影響を見てゆきます。
第4回
4/28
【東京の住宅地】
 松本泰生
東京都心には江戸期に形成され現在もその痕跡を留める住宅地がいくつかあります。また、近代以降に宅地化が進められた住宅地も散見されます。都心部山の手の住宅地の形成過程と現在の様相を知り、その町並みの特色を見ていきます。
第5回
5/12

【東京の寺町】
 千葉一輝
様変わりの激しい東京において、寺町はその特質上、環境がよく保たれています。しかし、寺院は江戸期から近代において、都市計画上、幾度となく移転を繰り返しました。新旧の寺町と、そこで行われているさまざまな取り組みを紹介します。
第6回
5/19
【まちなか巡見】
東京最大の寺町・谷中を歩く  千葉一輝
第5回の講義を踏まえ、江戸期以来の最大の寺町、谷中を歩きます。緩やかな時の流れ、昔ながらの寺院風景を味わいます。近年の変化にも眼を配りながら、境内や路地を巡って行きます。
第7回
5/26
【繁華街景観の移り変わり】
 松本泰生
江戸期以来、現在の東京に至るまで、都心部の繁華街は日本有数の賑やかな景観を呈してきました。江戸東京の繁華街の町並み風景の移り変わりと、現在の景観的な課題等について概観します。
第8回
6/02
【まちなか巡見】
港区三田界隈の地形を体験する  松本泰生
第2回の講義などを踏まえて、港区の三田周辺を訪れ、台地と谷地からなる東京都心部の地形を体験します。地形と関連させながら江戸の町並み風景を想像し、またその近代以降の空間構造の変遷と現状について理解を深めます。
第9回
6/09
【江戸東京の道】
 千葉一輝
道というものは、いったんできあがると道筋などは基本的に保たれたまま存続します。江戸から東京にかけての主要な道や、山の手・下町の道路パターンなどをとりあげ、その変遷について考えます。
第10回
6/16
【江戸四宿の風景】
 松本泰生
江戸の市域に隣接し、遊興地等として栄えた江戸四宿(品川、千住、板橋、内藤新宿)の概要と、江戸における位置づけを学び、その空間構造と町並み風景の特色について概説します。またそれらの近代以降の変容についてもお話します。


・上記は予定です。都合により日程や講義内容を変更する場合があります。
・まちなか巡見は現地集合・現地解散で、4km程度歩きます。集合場所等は事前の授業でお知らせします。 八丁堀校との間の移動には時間が掛かりますので、登録の際は、前後に時間の余裕をおとり下さい。


【講師プロフィール】

千葉一輝:
1950年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒。早稲田大学大学院理工学研究科修了。工学博士。専攻は都市景観、都市デザイン。ものつくり大学講師。台東区・新宿区や調布市等の景観アドバイザー。論文に「近代以降における東京の寺院集積地区に関する研究」「江戸・東京における眺望の変容に関する研究」など。
千葉一輝氏のHP「富士見坂眺望研究会

松本泰生:
1966年静岡県生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。博士(工学・早稲田大学)。都市景観・都市形成史研究を行う傍ら、90年代から東京の階段を訪ね歩く。著書として『東京の階段−都市の「異空間」階段の楽しみ方』(日本文芸社)、『新宿学」(紀伊國屋書店・共著)などがある。


inserted by FC2 system