下町・庭園・山の手を巡る―江戸東京の風景学 2023年秋

早稲田大学エクステンションセンター 八丁堀校 早稲田大学オープンカレッジ講座

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2023年度 秋期  火曜日4限(15:05〜16:35)

【目標】 ・江戸東京という視点について理解する
・江戸から東京における風景の変化を把握する
・変化の主な契機やプロセスについて分析し、将来を展望する
【講義内容】 写真・絵画・地図・映像等の視覚的資料を多用し、対象となる風景(の変化)を直感的に把握します。その上で風景の歴史的背景や形成のプロセスについて説明を行い、講義に続く巡見で更に理解を深めます。巡見は、下町・庭園・山の手の、それぞれ押さえておくべき主要な場所を訪れ、土木的なものから路地空間まで、いろいろなスケールの風景を味わい、その特徴や地理的関係も良く理解できるように設定されています。詳細はWebサイトをご覧ください。
【講師】 千葉一輝:ものつくり大学講師・元早稲田大学講師
松本泰生:元早稲田大学客員講師
赤坂 信:千葉大学名誉教授
第1回
10/03
江戸の形成過程
千葉一輝
多くが葦原・湿地だった道灌の時代の武蔵野が、家康以降、大規模に都市開発され、インフラ整備とともに急速に市街化が進んでいった過程を辿ります。また、城下町として城を中心とした武家地・寺社地・町人地といった身分制と結びついた土地制度、道路整備など、江戸の都市構造や風景的特徴について、理解します。
第2回
10/10
東京の形成過程
松本泰生
近代以降の東京は、江戸期に形成された都市構造を継承しながら、道路や鉄道を新たに建設し、土地利用を転換したりして形作られてきました。また、交通網の発達や関東大震災などを契機として市街地を拡大させて行きました。東京の近代以降、現在に至るまでの形成過程について概観します。
第3回
10/17
山の手の概要と白金台
松本泰生
江戸の町は城を中心として武蔵野台地側の山の手に武家が、川や海の側の下町に町民が多く住む都市構造でした。近代以降も山の手は住宅地、下町は商業地となり、市街地の拡大とともに山の手は西郊へと広がっていきました。江戸期から現在までの山の手の概要と、閑静な住宅地として知られる白金台界隈の今昔についてお話しします。
第4回
10/24
巡見
白金台界隈の住宅地を巡る
松本泰生
第3回の講義を踏まえて、御屋敷町の雰囲気が残る白金台界隈の街を見ていきます。山手線内南部でしばしば見られる高台と谷地が複雑に入り組んだ地形を体験し、地形に応じて形成された高台の御屋敷町と谷地側の商業地の対照的な様子を見て歩きます。巡見の詳細は第3回の講義時にお伝えします。
第5回
10/31
江戸東京の庭園と公園
赤坂 信
公園は、制度上は近代明治になってからつくられたものです。社寺境内が公園として開放したもの、日比谷公園のように初めから公園としてくられたもの、そして旧大名庭園が公園として整備されたものも登場します。関東大震災は都市機能上の公園の役割に一大転機をもたらします。江戸東京の大名庭園の行方と公園の誕生の歴史を辿ります。
第6回
11/07
近代における大名庭園の変貌
赤坂 信
パ江戸が東京になることで、江戸に住む大名や家臣は国元へ帰り、人口が激減します。現在は、文化財庭園として都内にいくつか保存されていますが、多くのものは姿を消していきました。ここではとくに、大名屋敷にそれぞれあった庭園(大名庭園)は、明治になってからどのように変貌していったのかをテーマに解説します。
第7回
11/14
巡見
将軍の庭「浜離宮」を渉猟する
赤坂 信
将軍の庭「浜御殿」(明治以降は浜離宮と改称)は、都内における江戸時代の庭園としては最大のものです。隅田川の河口付近に位置するこの庭園には、満潮時、干潮時には汽水が出入りする昔ながらの潮入の池(しおいりのいけ)があり、いまだに機能しています。江戸来のアイディア満載のこの庭園で、現代に生きる私たちの楽しみ方を見つけましょう。
第8回
11/21
下町の概要と佃・月島
千葉一輝
江戸期に"お城下町(おしろしたまち)"という狭い範囲を指す呼称から始まった下町という言葉は、現在では場所的に随分と広がった範囲を指すようになっています。家康と独特の関係の下に築かれた造成地の佃は、今日までそこでの暮らしや街並みが比較的よく継承され、都内でも大変稀有な場所になりました。また近代日本の礎となった月島は大きく様変わりしつつもまだ路地が残されています。隣接する両地域を比較しながら、今に至る形成過程について理解します。
第9回
11/28
巡見
佃・月島を歩く
千葉一輝
佃では、1964年の東京オリンピックの際に佃大橋が出来て渡しが消え、大きな節目になりました。昨今では至近に超高層マンション群が聳えていますが、祭礼はしっかり継承されています。月島では地元の人は食べないもんじゃ焼きが近年俄かに町の代名詞になりましたが、路地裏では昭和の暮らしがまだ続いています。変貌したところ、しなかったところを受け留め、その暮らしぶりに想いを馳せることにします。

◆まちなか巡見は現地集合・現地解散です。移動に時間がかかりますので、お申込みの際は、前後に時間の余裕をお持ち下さい。
◆交通費・入場料等の費用は別途実費ご負担となります。
◆まちなか巡見は、4km程度歩きます。
◆都合により内容を変更する場合があります。


【講師プロフィール】

千葉一輝:ものつくり大学講師、元早稲田大学講師
1950年東京生まれ。慶大法学部卒。早大大学院理工学研究科修了。博士(工学:早稲田大学)。専攻は都市景観。富士見坂眺望研究会代表。日本イコモス会員。台東区・新宿区・荒川区等の景観アドバイザー。論文に「近代以降における東京の寺院集積地区に関する研究」「江戸・東京における眺望の変容に関する研究」などがある。
千葉一輝氏のWebsite「富士見坂眺望研究会

松本泰生:元早稲田大学講師
1966年静岡県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。博士(工学・早稲田大学)。都市景観・都市形成史研究を行う傍ら、90年代からの東京の階段を訪ね歩く。著書として『東京の階段』(日本文芸社)、『凹凸を楽しむ 東京坂道図鑑』(洋泉社)、『新宿学』(紀伊國屋書店・共著)がある。

赤坂 信:千葉大学名誉教授
千葉大学大学院を経て西ドイツ(当時)政府給費留学生としてハノーバー大学に留学。1981年より千葉大学助手として園芸学部に勤務し、2016年教授として退職。現在、千葉大学名誉教授。専門は造園学、風景計画論、都市緑地史。『ドイツ国土美化の研究』で京都大学から農学博士の学位を受ける。世界遺産委員会の諮問委員会イコモス(ICOMOS)国際会議で眺望の再生と復活をめざすVista Heritage(眺望遺産)の提言。日本イコモス会員(監事)。


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