Site Y.M. 建築・都市徘徊

早稲田大学エクステンションセンター 八丁堀校 早稲田大学オープンカレッジ講座
江戸東京の風景学

2015年秋期  火曜日4限(15:00〜16:30)


【目標】 江戸以来、東京の風景は大きく変貌しながら今日に至っています。変貌の契機となる主な局面について理解するとともに、風景が形成されてゆくプロセスを、多様な資料から考えます。これらに加えて実際のまちの現況を見て歩くことで、風景に対する見識を深めます。
【講義内容】 写真・絵画・地図・映像などの資料を用い、江戸・東京が持つ多様性を浮き彫りにしてゆきます。土木的スケールのものから路地空間まで、これまで取り上げられることの少なかった側面に着目し、まち歩き(まちなか巡見)により、実際の風景から都市とそれを見つめる人々の意識、そしてその両者を大きく規定する時代背景について理解し、江戸東京の風景を考える手がかりとします。
【講師】 千葉一輝:麻布大学講師
松本泰生:尚美学園大学講師
杉山朗子:株式会社日本カラーデザイン研究所景観事業部担当部長
赤坂 信:千葉大学大区学院園芸学研究科・園芸学部教授

第1回
09/29
【高層化する東京】
 松本泰生
近代以降、東京の街並みは断続的に高層化してきました。特に近年は超高層建物が毎年のように増加しています。江戸・東京の町の建物の高さに着目して、江戸時代から昭和戦前期までの街並み風景の変化と、体験や意識の変化についてお話しします。
第2回
10/06
【江戸・東京と富士】
 千葉一輝
〜半分は江戸のものなり富士の雪〜江戸の人々は朝な夕なその姿を愛で、誇りにしていました。やがてそれは信仰として富士講になり、沢山の富士塚が造られます。しかし近年の東京では急速に見えなくなり、改めてその意義が問われることとなりました。江戸東京の富士山への眺望を巡る状況について解説します。
第3回
10/13
【看板建築】
 松本泰生
関東大震災以降、東京では木造洋風の商店建築が多く造られるようになりました。通りに面した部分だけを洋風にしつらえたこれらの建物は「看板建築」と呼ばれ、昭和初期から戦後期の東京の街並みを構成する要素になっています。看板建築の街並み形成の経緯とその特色、近年の状況についてお話します。
第4回
10/20
巡見
現地集合
【まちなか巡見
・下町商業建築】
 松本泰生
第3回の講義を踏まえて、関東大震災以降に下町商業地域に展開した看板建築の街並みを見て歩きます。巡見先の詳細は講義時に御説明します。
第5回
10/27
【江戸の色・東京の色】
 杉山朗子
今も浅草界隈に色濃く残る江戸の色を中心に、東京に息づく色彩感性を探ります。火事や空襲で焼き尽くされたかのように見えても、人々は心意気と色を忘れずに継承し、使いこなしているのです。色からまちをみる視点についてお話しします。
第6回
11/10
【江戸東京の庭園】
 赤坂 信
明治維新後、主を失った数多くの大名屋敷は廃屋となり、長年手入れをしてきた庭園群は荒廃し、当時の東京府知事は殖産事業を興そうと荒れた屋敷や庭園を取り壊して農地とすべしという桑茶令を出す事態にいたります。江戸時代に築かれたものが消滅する時代でもありましたが、保存されて現代にいたるものもあります。その理由と時代背景について解説します。
第7回
11/17
【東京の公園】
 千葉一輝
西欧に見られる「公園」は、江戸では寺社の境内が似たような役割を果たしていたとみなされました。明治初期に寺社境内地は一斉に国有化されてしまいますが、境内が公園に切り替わった際に、様々な西欧文明導入の窓口、装置として捉えられ、大幅な模様替えがなされます。主要な事例に依って、初期に作られた公園の変遷をたどり、それらの現状についても明らかにしてゆきます。
第8回
11/24
巡見
現地集合
【まちなか巡見
・神宮外苑】
 千葉一輝
前回の講義を踏まえて、東京を代表する景観となった神宮外苑を見てゆきます。絵画館へ通ずる銀杏並木ほど愛された街路樹が他にあるでしょうか。しかし、近代都市デザインとして誇るべき外苑の空間は今回のオリンピックにより大きく様変わりすると言われています。 こうしたことも視野に入れながら、緑の下を抜けて行きます。
第9回
12/01
【東京の盛り場】
 松本泰生
江戸の遊郭・岡場所から、東京の花街・三業地・赤線・青線へ、更に戦後の料亭街に至るまで、色街、花街の歴史的変遷について概要を学びます。また江戸東京における位置づけの移り変わり、特有の街並み風景の変容について知ります。
第10回
12/08
【東京の故郷性】
 千葉一輝
果てしなく変貌を続ける東京は、「故郷」という視点からはどのように見えてくるのでしょうか。東京への人口流入、郊外化、都心回帰といった時代の大きな流れを踏まえ、また明治以降の流行歌(望郷歌)を通して見られる故郷意識の変化にも目を配りつつ、東京の都市居住、風景の今後について考えます。


・上記は予定です。都合により日程や講義内容を変更する場合があります。
・まちあるきは現地集合です。八丁堀校との間の移動には時間が掛かりますので、登録の際は、前後に時間の余裕をもって下さい。
・まちあるきは、毎回約1時間半で約4km程度を徒歩で巡ります。

・早稲田大学エクステンションセンターのHPはこちら


【講師プロフィール】

千葉一輝:
1950年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒。早稲田大学大学院理工学研究科修了。工学博士。専攻は都市景観、都市デザイン。ものつくり大学講師。台東区・新宿区や調布市等の景観アドバイザー。論文に「近代以降における東京の寺院集積地区に関する研究」「江戸・東京における眺望の変容に関する研究」などがある。
千葉一輝氏のHP「富士見坂眺望研究会

松本泰生:
1966年静岡県生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。博士(工学・早稲田大学)。都市景観・都市形成史研究を行う傍ら、90年代から東京の階段を訪ね歩く。著書として、『東京の階段−都市の「異空間」階段の楽しみ方』(日本文芸社)、『新宿学』(紀伊國屋書店・共著)がある。

杉山朗子:
早稲田大学第一文学部卒業後、株式会社日本カラーデザイン研究所入社。人の心理の視点でカラー研究に従事、幅広い分野の色彩計画等業際的に活動。現在自治体の景観審議委員、アドバイザーとして景観色彩に取り組んでいる。著書に「地域イメージを活かす景観色彩計画」(学芸出版社)

赤坂 信:
千葉大学大学院を経て西ドイツ(当時)政府給費留学生としてハノーバー大学に留学。1981年より千葉大学助手として園芸学部に勤務し、現在に至る。専門は風景計画学、造園学、都市緑地史。『ドイツ国土美化の研究』で京都大学から農学博士の学位を受ける。ICOMOS国際会議で眺望の再生と復活をめざすVIsta Heritage(眺望遺産)の提言。日本イコモス会員。

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